海上自衛隊の護衛艦部隊
海上自衛隊の護衛艦は、2006現在まで、自衛艦隊の中の護衛艦隊と、地方隊とで運用されている。
護衛艦は、2、3隻をもって、護衛隊を編成する。
護衛艦隊においては、4個護衛隊群を編成しており、護衛隊群は、護衛隊を2〜3隊と、直轄艦艇により編成する。
護衛艦隊は、いわゆるシーレーン防衛を担当し、外洋における航路の確保に当たる。
地方隊は、沿岸海域に警備に当たる。
海上自衛隊の前身である海上警備隊当時は、護衛艦は警備船と呼ばれており、護衛隊は「船隊」、護衛隊群は「船隊群」と呼ばれていた。
海上警備隊最初の編成は、PFくす型によって編成された船隊群が2個、LSSLによって編成された船隊群が1個であった。
護衛艦は、大型のDDと、小型のDEの二系統が建造され、DEは地方隊用とされた。
すなわち、大型新鋭艦を護衛艦隊に配属し、小型艦を地方隊に配属した。
が、新鋭のDEは、護衛艦隊に配属される例も少なくなかった。
護衛隊群が、3個から4個となった当時は、DEちくご型も護衛隊群に配属される場合もあった。
4個護衛隊群は、即応、高練度、低練度、整備、の4フェーズをサイクルとして常時1個の即応を想定している。
当初は、整備された護衛艦を、同型艦を基本に護衛隊を編成し、これを組み合わせて、護衛隊群を編成していた。
が、DDHはるな型を整備する頃から、護衛隊群の編成に、大きなタイプが定まってゆく。
すなわち、DDH2隻で6機のヘリを運用して対潜部隊の基幹とし、DDG1隻で防空中枢とし、他に、2個護衛隊5隻程度で、対潜部隊を編成するもであった。
この後、護衛艦の汎用化が計られ、DDはつゆき型ではヘリを各一機搭載し、DDH1隻、DDG2隻、他に、2個護衛隊5隻程度で、護衛艦8隻ヘリ8機の、いわゆる88艦隊が整備方針とされた。
DEの整備は、DEあぶくま型以降は、整備が打ち切られ、代って新型DDの増勢により、護衛艦隊の定数から余る艦を、早期に地方隊に移す方式が取られることとなった。
このため、地方隊護衛艦の戦力アップが図られた。
9.11事件以降のテロ対策特措法による支援活動により、護衛艦部隊の実働の機会も増え、また、北朝鮮のミサイル防衛という、新しい任務も加わる海上自衛隊においては、従来の編成方式では対応しきれない時代となってきた。
このため、平成19年度には、大きな改編が計画されている。
すなわち、すべての護衛隊を、護衛艦隊に編入、一括管理し任務に当たるものである。
この措置により、地方隊の戦力は一義的にはダウンするが、必要に応じて護衛艦隊の支援を受けることにより、常に必要な戦力の割り当てが受けられることにもなる。
また、従来の護衛隊群の編成を見直し、対潜重視型グループ(DDH1, DDG1, DD2)と、防空重視型グループ(DDG1, DD3)により、より細かい適応能力を持たせる方式が検討されている。
現在の一個護衛隊群の編制は、DDH1と、DDG2、DD2、DD3による3個護衛隊で編制されているが、これを、対潜重視型グループ(DDH1, DDG1, DD2)と、防空重視型グループ(DDG1, DD3)の2個護衛隊に改編する。
防空重視型グループのDDGは、言うまでもなく、イージス艦となる。
すなわち、BMDを視野に入れた部隊編制である。
この場合、基本的に1個部隊は即応、前線配備となり、これを間断なく継続するためには、交代用に1個隊が必須となる。
対潜重視型グループは、BMD以外の、例えば不審船対策や、海外派遣などの主力となるであろう。
新規作成日:2006年10月18日/最終更新日:2006年12月13日