海上自衛隊の揚陸輸送作戦の系譜

揚陸輸送作戦とは、ここでのタイトルであり、揚陸作戦、輸送作戦をあわせ表現するものである。
揚陸作戦とは、元来は、上陸用舟艇を用いての、敵前上陸作戦を言う。
これに対して、輸送作戦とは、物資、人員を輸送するものである。


海上自衛隊においては、敵前上陸作戦を一義には準備されていないが、港湾未整備地域への輸送に際して、海浜への強行着岸揚陸は念頭に置かれている。

海上自衛隊創設当初、アメリカ海軍より、揚陸艦/輸送艦 LST4001 おおすみ 型揚陸艇 LCM1001 揚陸艇小型揚陸艇 LCU2001 揚陸艇中型揚陸艇 LSM3001 揚陸艇大型、が貸与され、海上自衛隊の揚陸艦艇部隊は創設された。

各艦艇は、太平洋戦争で、上陸作戦を戦った、揚陸艦艇である。

当初、揚陸艦艇とされていたが、輸送艦艇と変更されている。

これらの貸与艦艇は、やがて老朽化により退役するが、代替として、輸送艦 LST4101 あつみ 型輸送艦 LST4151 みうら 型、が整備された。

また、地方隊の業務輸送用として、輸送艦 LSU4171 ゆら 型輸送艇 LCU2001 輸送艇1号 型、が整備された。

海上自衛隊の輸送業務は、有事に際して陸上自衛隊の1個師団の1/2を輸送できる輸送力を所要定数としている。

また、地方隊の業務輸送として、離島などへの輸送も任務である。

LST4101 あつみ 型、LST4151 みうら 型、の代替として、新方式の輸送艦が建造されることとなった。
輸送艦 LST4001 おおすみ 型、である。
従来の輸送艦は、ビーチングにより、直接揚陸する方式であったが、その為に艦型が特異で、速力の低いことが難点であった。
それに対して新型艦では、LCACによる現場輸送を前提として、船体に船渠を備え、また、ヘリ発着甲板を備えることにより、ヘリによる輸送も可能とする者である。
輸送艦 LST4001 おおすみ 型 搭載 LCAC、は、米海軍でも使用しているタイプで、50トンの物資を搭載し、高速で輸送することができる。
また、陸上自衛隊の輸送物件が増加するに伴い、輸送艦も大型化することとなった。

さて、この新方式による輸送が画期的ではあるが、完全な物かというとそうでもない。
一つは、艦が大型化することにともない、接岸不能の港湾も多々できるのである。
また、LCACの運用も、安全確保などの事情から制約も多い。

実際、大島三原山噴火のおり、急行した、LST4001 おおすみ 型は、沖合でなす術なく監視待機を続け、実際に避難輸送を行ったのは、LST4151 みうら 型、であった。

そういった事情を踏まえ、地方隊用の輸送艦として、輸送艦 LSU4181 1900t 型、の整備が計画されている。



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新規作成日:2003年4月28日/最終更新日:2003年4月28日