Jpn 海図のできるまで MSA



本項は 「海上保安庁パーフェクトガイド」掲載用として整理したものをもとに掲載しており、更新なき場合、2005年3月のデータにもとずいています。
また、掲載出版内容と異なる部分も多々あります。
新規作成日:2005年5月7日以前を最終更新日としているものは、準備資料のまま内容の更新がないことを示しています。


海図のできるまで

現在、日本国内の海図(紙海図)は614図、このほか、外国海域の海図91図を発行している。
現在では、海図の発行は、測量船などによって得られたデータを、サーバーに蓄積し、電子海図システムにより、コンピュータ上で編集し、プロッタで出力し、校正の上、光プロッタにより4色製版のネガを出力、庁舎内の印刷機により校正刷(仮印刷)し、色校の上、4色製版のネガを日本水路協会へ貸し出し、専門業者により印刷の上、日本水路協会が販売している。
また、小改正などは、水路通報によって行われ、場合によっては補正図なども作成添付される。
既に船舶で使用中の海図に対しては、この水路通報による情報を転記したり、補正図を貼付することにより、海図の情報を最新に維持することが行われる。
印刷済みで販売用ストックとなっている海図については、日本水路協会により、これら補正処理が行われ、販売時点において最新の情報が維持されるようになっている。
昨今のIT化の波は航海システムにも波及し、海図についても、電子海図が発行されるに至っている。
ENC Electronic Navigational Chart 航海用電子海図、と呼ばれ、電子海図表示システム(ECDIC Electronic Chart Display and Information System)によって利用できる。
ENCは、平成7年3月2日に世界で先駆けて発行され、現在、15枚のCD-ROMが発行されている。
電子海図は、サーバーに蓄積されている海図用データを、共通で使用し、電子海図システムにより、コンピュータ上で編集し、海図表示装置などにより確認し、校正の上、CD-Rで出力し、これをマスターデータとして日本水路協会へ貸し出し、専門業者によりCD-ROMを製造の上、日本水路協会が販売している。
電子海図用の小改正などは、電子水路通報CD-ROMによって行われる。既に船舶で使用中の電子海図に対しては、この電子水路通報CD-ROMによる更新により、電子海図の情報を最新に維持することが行われる。
電子海図システムのソフトウエアは、汎用CADソフトを改良(一部特注)したものである。
海図、及び電子海図の編集は、約30名の職員により行われており、年間約600枚の海図の新刊、改版、補刷が行われている。
1枚の海図は、早いものでは約2,3週間で作成されるが、従来の手作業によるものでは、数ヶ月を要していた。電子編集の形が開始されたのは平成7年頃で、平成18年を目途に、全海図の電子編集化が完了される予定である。
従来の方式では、測量船などによって得られたデータにより、手作業で原図を描き、トレースによってポジを作成し、数値を記入(貼付)し、写真製版により4色製版のネガを出力、庁舎内の印刷機により印刷し、日本水路協会が販売していた。
その後、庁舎内における販売用の印刷業務は、日本水路協会へ移管され、更に、現在のような体制へと移っている。
測量データも、半世紀前頃までは、手用測鉛による手作業での水深測量が行われていたが、現在では、マルチビームによる音響測量により、航行する測量船で、一気にある程度の幅を持つ面の測量が可能となるとともに、位置(緯度経度)、水深の数値データを、そのまま電子データとして集積することが可能となっている。
そして、これら測量データは、調査報告として現場(本庁測量船や管区水路部)より提出され、最新海図発行の際のデータとして利用される。
尚、海図に記載されている水深の数値は、実際に収集された膨大なデータの中から、必要かつ十分となる数値を取捨選択の上、海図に記載される。

海図は、従来、日本測地系で発行されていたが、GPSが普及した今日、世界測地系のものが発行されるようになった。これは、日本測地系で使用されているBessel1841とよばれる方式の地球の半径、扁平率と、GPSで使用されているWGS84とよばれる方式の地球の半径、扁平率が不一致のため、日本近海においては約400-500mの誤差が生じ、GPSでの位置情報を日本測地系の海図上で使用してしまうと、正確な位置を誤ってしまい、場合によっては座礁などの海難の恐れが出たためである。

潮候推算機は、電子計算機の導入された昭和48年版から昭和56年版までは並行運用されていた。


[**の数が多い順に割愛要素、但し「*」までは基本的に入れたい]


海図編集室には約20台の編集装置が置かれており、別室にも約10台がある。
Dcim1511/DSC_3536. Dcim1511/DSC_3542.

海図編集室に置かれているサーバー、この1台で全データを管理する。
Dcim1511/DSC_3549. Dcim1511/DSC_3550.

海図編集装置。
Dcim1511/DSC_3551. Dcim1511/DSC_3552. Dcim1511/DSC_3556. Dcim1511/DSC_3557.

電子海図編集装置は、海図編集装置と同一機器であり、いずれの処理も可能ではある。
Dcim1511/DSC_3546. Dcim1511/DSC_3558. Dcim1511/DSC_3559. Dcim1511/DSC_3560.

校正用に出力するためのプロッタ。大型のプリンタである。
Dcim1511/DSC_3547.

管区より提出された測量調査報告。文書は参考用に添付されているもので、電子データがメインである。
Dcim1511/DSC_3569. Dcim1511/DSC_3572.

毎週発行されている水路通報。和文と英文がある。
Dcim1511/DSC_3577. Dcim1511/DSC_3578.

現在は使われていないポジ。透明なシートに描かれている。
Dcim1511/DSC_3585.

海図 
Dcim1511/DSC_3589.

海図と水路通報に添付されている補正図。
Dcim1511/DSC_3590. Dcim1511/DSC_3593.

海図編集室にある電子海図表示装置、ここで電子海図の確認が行われる。
Dcim1511/DSC_3596. Dcim1511/DSC_3635.

刊行されている電子海図のCD-ROM。
Dcim1511/DSC_3636.


光プロッタ室、ここでネガが出力される。
Dcim1511/DSC_3629.

作業台 
Dcim1511/DSC_3602. Dcim1511/DSC_3603. Dcim1511/DSC_3604. Dcim1511/DSC_3605. Dcim1511/DSC_3624. Dcim1511/DSC_3625. Dcim1511/DSC_3627. Dcim1511/DSC_3632.

ネガを出力する光プロッタ、大型の写真製版機である。1枚の出力に約15分で、4色(三原色+黒)分で4枚出力する。
Dcim1511/DSC_3615. Dcim1511/DSC_3622.

出力ネガ、印刷すべき部分が反転している。
Dcim1511/DSC_3609.

操作端末。
Dcim1511/DSC_3618.


手用測鉛 
Dcim1181/DSC_9693.

電子海図情報表示の一例 
Dcim0484/Dsc_6591. Dcim0484/Dsc_6607. Dcim0842/DSC_3264.



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新規作成日:2005年5月7日/最終更新日:2005年1月20日