水路観測所
本項は 「海上保安庁パーフェクトガイド」掲載用として整理したものをもとに掲載しており、更新なき場合、2005年3月のデータにもとずいています。
また、掲載出版内容と異なる部分も多々あります。
新規作成日:2005年5月7日以前を最終更新日としているものは、準備資料のまま内容の更新がないことを示しています。
水路観測所
海上保安庁では、日本の天文観測の基礎となる天体暦(天体位置表)を編さんし、これをもとに航海暦(天測暦、天測略暦)などを刊行している。
天体の位置を観測する仕事は、各国の天文台が協力して行っているが、海上保安庁は主に星食観測を担当し、これに関する世界の中央局業務を行っている。
水路観測所の観測によって得られたデータは、海上保安庁海洋情報部で解析され、天体暦の精度を検定するとともに、天体暦の精度維持・向上のため天体位置推算法の改良に役立てられている。
この高精度の天体位置表をもとに「天測暦」「天測略暦」等の航海諸暦を編集・刊行し、航海の安全に寄与している。
また、これらの資料は、身近なカレンダーや位置天文学・測地学の分野にも利用されている。
美星水路観測所は、岡山県小田郡美星町にある海上保安庁の天文観測施設で、主な業務として星食観測を行っており、この観測から月の運動や地球の自転の変動を調べている。
白浜水路観測所は、和歌山県にある天文観測施設で、主な業務として星食観測を行っている。
また、エコー1・2号、パジオス等の測地衛星の写真観測を行い、海上保安庁の人工衛星観測事業の発展に重要な役割を果たしてきた。
とりわけ昭和61年8月の日本の測地衛星「あじさい」の打ち上げ時には、写真観測により衛星の軌道決定に活躍している。
下里水路観測所は昭和19年に創立された勝浦地磁気観測所を前身としている天文・測地観測施設である。。
口径62cmの反射望遠鏡を用いた星食などの天文観測のほか、レーザー測距装置による人工衛星の距離観測を行っている。
八丈水路観測所は、海上保安庁で唯一の地磁気観測を行っている施設である。
海上保安庁では、昭和29年から和歌山県の下里水路観測所で地磁気の連続観測を行っていたが、昭和52年紀勢本線の電化により、電磁波の影響で正常な観測ができなくなったため、地磁気部門の施設を八丈島へ移設して、昭和53年3月から本格的な地磁気観測業務を行って来た。
しかし、近年、IT化が進み、平成16年10月から、絶対観測等一部の業務を除き、八丈水路観測所は遠隔運用され、自動観測、データのリアルタイム伝送により、観測データは、現在、第三管区海上保安本部で解析、処理されることになり、この遠隔運用に伴い、八丈水路観測所という組織は廃止されましたが、施設として今後とも使用されてゆく。
新規作成日:2005年5月7日/最終更新日:2004年12月12日