巡視船の乗組員配置
巡視船の乗組員配置
本項は 「海上保安庁パーフェクトガイド」掲載用として整理したものをもとに掲載しており、更新なき場合、2005年3月のデータにもとずいています。
また、掲載出版内容と異なる部分も多々あります。
新規作成日:2005年5月7日以前を最終更新日としているものは、準備資料のまま内容の更新がないことを示しています。
巡視船に限らず、海上保安庁の船艇は「船務」と「業務」の2つの職務を持つ。
「船務」は船の運航、整備等に関するものをいい、航海科、機関科、通信科、航空科、主計科等の「科」をおいている。「業務」は、船の種類により、警備救難業務等、海洋情報業務、航路標識業務をそれぞれ行うこととされているが、巡視船の場合は、警備救難業務等を行うものであり、この業務を行うため、「業務班」、「業務部著」、「業務処理班」が置かれている。
業務班とは、業務の企画立案等を行うものであり、「総務班」「警務第一班」「警務第二班」「救難班」等があり、さらにその下には係が置かれている。業務部署とは、乗組員総員で行う必要がある業務のため編成されるもので、「救難部署」「曳航部署」「射撃部著」「追跡部暑」等がある。業務処理班とは、業務を処理する際の単位で「第一班」「第二班」等となっている。
巡視船は、船を運航して業務を行うが、運航要員と業務要員が別に存在するものではなく、一人の乗組員が船の運航の役割と業務の役割の両方を担っている。このため、巡視船乗組員は、船長、業務管理官を除き、「科」「船務部署」「業務班」「業務部署」「業務処理班」の全てに配置されている。
業務管理官は、船長を補佐し、この業務を統括する。
船務
科…航海科、機関科、通信科、航空科、主計科等
部署…出入港部署、航海保安部署、防火部署、防水部書等
業務(警備救難業務等)
班…総務班、警務一班、警務第二班、救難班等
部署…救難部署、曳航部署、射撃部署、追跡部署等
処理班・・・第一班、第二班等
海上保安庁の船艇には、1万トン近い大型巡視船から、5トン未満の監視取締艇まで、さまざまな大きさの船がある。
当然、乗組員の人数や配置も異なる。
ここでは、あるヘリコプター搭載巡視船のデータをもとに、推定を交えて紹介しよう。
このヘリコプター搭載巡視船の場合、船長の下に、航海科、機関科、通信科、主計科、砲術科、航空科がおかれている。
また、昭和61年から業務管理官というものもおかれている。
これは、船舶運航以外の各種業務における船長の補佐を行うもので、操船の責任を持たないため、副長そのものではないが、船長の次席に位置する。
航海科は、船舶の運航(航海)に携わる。
機関科は、船舶の運航(機関)に携わる。
通信科は、船舶の運航(通信)に携わる。また、警備救難業務においては各部署との通信をつかさどる。
主計科は、船舶の運航(主計)に携わる。主計とは、食事などを賄う部署である。
砲術科は、搭載する機銃などを扱う。現在、一般に航海科が兼務する。
航空科は、搭載するヘリコプターの運行、整備、航空通信などを行う。
航海科、機関科、通信科、主計科は、大型船舶としての基本の部署であり、航空科は、ヘリコプター搭載巡視船ならではの部署である。
航海科には、航海長のもと、首席航海士、主任航海士2名、船務主任、航海士2名、航海士補4名など、約12名がいる。
機関科には、機関長のもと、首席機関士、主任機関士、船務主任、機関士2名、機関士補2名など、約9名がいる。
通信科には、通信長のもと、首席通信士、主任通信士、通信士、通信士補のうち2名がいる。
主計科には、主計長のもと、主計士、主計士補2名など、約4名がいる。
航空科には、航空長のもとに、飛行、整備、通信の3部署がおかれている。
飛行には、首席飛行士、主任飛行士、飛行士、飛行士補など、約4名がいる。
整備には、首席整備士、主任整備士、整備士、整備士補など、約7名がいる。
通信には、首席航空通信士、主任航空通信士、航空通信士など、約3名がいる。
したがって、総数約40名という事になる。
各数値の合計が不一致となるのは、推定値を含むためである。
アメリカ沿岸警備隊の3000トン級巡視船では、約160名乗り組んでおり、格段に少数しか乗り組んでいない。
各部署、xx長のもとに、首席xx士、主任xx士、xx士、xx士補、などがおかれている。
おもな階級は、船長は二等海上保安監、xx長は三等海上保安監、首席xx士は一、二等海上保安正、主任xx士は二、三等海上保安正、xx士、xx士補は一等海上保安士〜三等海上保安士である。
海上保安庁の船舶は、軍艦ではないので、職種は基本的には商船に準じたものである。
すなわち、士官、下士官、兵といった海軍の階級制度ではなく、職員部員といった船舶職員の制度に近いものである。
外洋を航行する船舶の場合、当直制がしかれ、8時間勤務16時間休憩の、3直制となるため、航海科、機関科、通信科の職員は、各当直に際しては、総数の1/3で勤務している。
したがって、通常、航海科4名、機関科3名、通信科1名で、運行しているということになる。
警備救難任務の現場においては、その3直制の、各当直担当以外のものが、警備救難任務にあたることになる。
したがって、航空機運用を除けば、わずか15名程度しか当直外のものは残っておらず、極めて過酷な配置でもある。
航空機要員は、航空機運用に際して、全員が配置につくため、基本的に他の任務には就けない。
警備強化指定巡視船の場合は、同様の割り当てで、特別警備隊(特警隊)を編成派出するわけで、そのために若干の定員増強がなされているとは言え、十分な要員配置であるとはいえない。
本船とほぼ同様の大きさの艦艇であれば、200名程度は乗り組んでおり、任務が異なるとは言え、その差は歴然とする。
これを補うのが、機動防除隊(NST)、特殊救難隊(特救隊)などで、必要時には管区を越えて機動的に運用され、プラットホームとなる巡視船に展開し、本船乗組員と協力して、各種任務に当たるのである。
[以下余白次第]
昭和60年までは、
航海科には、航海長のもと、首席航海士、次席航海士、三席航海士、甲板長、甲板次長、操舵員がおかれている。
また、砲員長、砲員もいる。
機関科には、機関長のもと、首席機関士、次席機関士、三席機関士、操機長、操機次長、機械員がおかれている。
通信科には、通信長のもと、首席通信士、次席通信士、通信員がおかれている。
主計科には、主計長のもと、補給長、主計員がおかれている。
昭和46年までは、
航海科には、航海長のもと、首席航海士、次席航海士、三席航海士、甲板長、甲板次長、操舵長、操舵員がおかれている。
また、砲員長、砲員もいる。
機関科には、機関長のもと、首席機関士、次席機関士、三席機関士、操機長、操機次長、機械長、機械員がおかれている。
通信科には、通信長のもと、首席通信士、次席通信士、電信長、通信員がおかれている。
主計科には、主計長のもと、補給長、主計員、衣糧長、衣糧員がおかれている。
昭和41年までは、
航海科には、航海長のもと、首席航海士、次席航海士、三席航海士、甲板長、甲板次長、操舵長、操舵員、甲板員がおかれている。
また、砲員長、砲員もいる。
機関科には、機関長のもと、首席機関士、次席機関士、三席機関士、操機長、操機次長、機械長、機械員がおかれている。
通信科には、通信長のもと、首席通信士、次席通信士、電信長、通信員がおかれている。
主計科には、主計長のもと、補給長、主計員、衣糧長、衣糧員がおかれている。
このほか、看護長が置かれている。
[カット写真]
PLH22「やしま」出港作業。
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PLH22「やしま」入港作業。
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PL31「いず」船橋、航海配置。
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新規作成日:2005年5月7日/最終更新日:2005年4月12日