海上保安庁における航空機の運用
本項は 「海上保安庁パーフェクトガイド」掲載用として整理したものをもとに掲載しており、更新なき場合、2005年3月のデータにもとずいています。
また、掲載出版内容と異なる部分も多々あります。
新規作成日:2005年5月7日以前を最終更新日としているものは、準備資料のまま内容の更新がないことを示しています。
海上保安庁における航空機の運用
航空機運用の始まり
海上保安庁において、航空機の運用が始まったのは、昭和28年7月2日のことで、ベル47D−1型が第三管区海上保安本部に配属された。
現場への急行、広域捜索のためには、船舶による進出、捜索に比べて、航空機は遥かに迅速且つ広範囲に捜索が行え、有利であるためである。
昭和31年3月22日には、双発の固定翼機「ビーチクラフトE18S」が就役した。
ヘリコプターに比べ、更に高速で広範囲で活動できることが、固定翼機の利点である。
海上保安庁船艇に航空機を搭載したのは、昭和33年10月15日のことで、巡視船「宗谷」に、「シコルスキーS-58型」が搭載された。が、これは海上保安庁の一般の業務たる警備救難のためではなく、南極観測支援のためである。
それまで、航空機は通常、陸上の飛行場をベースとして活動するため、太平洋上、例えば小笠原海域などにおける海難救助においては、基地からの往復に時間を要するとともに、現場海面での活動時間が制限されてしまう。
しかも、ヘリコプターでは遠方まで進出することが困難な上、固定翼機では、直接救助して帰る事は出来ない。
(海上自衛隊では大型の救難飛行艇を運用しているが、海上保安庁が想定する海難状況における天候下では、いかに世界的高性能機とは言え危険が多く、導入には至っていない。)
そのため、巡視船にヘリコプターを搭載し、現場海面付近で、一体となった救助活動を行うことが考えられた。
その第1船として建造されたのは、「宗谷」の代船たる、ヘリコプター搭載型巡視船「そうや」であり、就役したのは昭和53年11月22日である。
現在の運用
現在、航空機は、各管区の航空基地と、ヘリコプター搭載巡視船に配備されている。
海上自衛隊の場合は艦載ヘリは陸上基地からの派遣という形を取っており、固有の艦載機ではないのだが、海上保安庁では、それぞれの巡視船に、配属されている。
その任務は、警備救難任務である。
不審船舶の捜査追跡、海洋汚染の監視、遭難船舶の捜索、海難救助、更には急患輸送、と、海洋を舞台にして幅広い活動を行っている。
主として固定翼機は、遠方海域を哨戒し、また、捜索救難においては、先行して早期発見に努め、位置や状況を的確に伝える。
回転翼機は、主として基地周辺海域での活動で、捜索救難においては直接吊り上げ救助なども行う。
巡視船搭載機の場合は、巡視船の進出海域での活動となるが、救助者の状況によっては、ヘリコプターは陸上基地を目指し、必要に応じて洋上で中継する巡視船と連携して、救命率を高めている。
ヘリ甲板を持つ巡視船と言うのは、格納庫や固有の搭載機の有無には無関係に、洋上基地としての大きな能力を持っている。
ヘリコプターは航続距離が短いが、例えば太平洋上に、一定間隔でヘリ甲板を持つ巡視船を並べれば、遠方海域で救助した遭難者を、途中の巡視船で給油を行いつつ中継すれば、迅速な対応ができると言うことである。
また、海上保安庁では、管区制を取っており、各担当海域が定められているが、管区間での連携体制も綿密に図られている。
また、大型航空機は、千歳、羽田、那覇の航空基地に集中配備されており、もって西太平洋の海域を広範囲にカバーする体制を確保している。
航空機の所属は各管区に属しているが、必要に応じて機体、あるいは乗員を含めた派遣という形もとられており、柔軟な運用体系が持たれている。
海上保安庁の航空基地は、基本的に民間空港の一角に併設されている。
また、航空基地において、格納庫や整備能力は有しているが、燃料補給等は民間業者への委託となっている。
管区 航空基地
第一管区海上保安本部 千歳航空基地、函館航空基地、釧路航空基地
第二管区海上保安本部 仙台航空基地
第三管区海上保安本部 羽田航空基地
第四管区海上保安本部 伊勢航空基地
第五管区海上保安本部 関西空港海上保安航空基地(唯一船舶を配備している)
第六管区海上保安本部 広島航空基地
第七管区海上保安本部 福岡航空基地
第八管区海上保安本部 美保航空基地
第九管区海上保安本部 新潟航空基地
第十管区海上保安本部 鹿児島航空基地
第十一管区海上保安本部 那覇航空基地、石垣航空基地
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新規作成日:2005年5月7日/最終更新日:2005年6月10日